糖尿病・高血圧症・高脂血症などの生活習慣病と消化器系疾患を中心とした診療を行っております。

〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-6 朝日生命須長ビル 2・3・4F

成人病News


所長に就任して

(公財)朝日生命成人病研究所附属医院

所長・院長 春日 雅人

朝日生命成人病研究所とのつながり

 この4月より、朝日生命成人病研究所の所長に就任しました春日です。何卒、宜しくお願い申し上げます。
 私は昭和48年(1973年)に東京大学医学部を卒業して東大病院で内科研修を行い、昭和50年(1975年)に、当時小坂樹徳先生が主宰されておられた第三内科に入局しました。入局後は、赤沼安夫先生がチーフを務めておられた1研・糖尿病グループに所属し、糖尿病の診療と研究に関して、先輩の諸先生方に色々と教えて頂きながら勉強しました。その後3年間の米国留学を経て、平成2年(1990年)より神戸大学で18年間内科学(主に糖尿病・消化器)を担当しました。その後、平成20年(2008年)に東京にあります国立国際医療センターに戻り、今日に至っています。従って、朝日生命成人病研究所とのご縁は今迄必ずしも深いものではありませんでした。
 朝日生命糖尿病研究所が丸の内に開設されたのは昭和60年(1985年)でした。赤沼安夫先生が東大の第三内科から朝日生命糖尿病研究所に所長として移られることになり、当時米国留学から帰国し東大第三内科の1研・糖尿病グループにいた私は、糖尿病研究所の研究室の設計や基本設備について色々と赤沼先生のお手伝いをさせて頂きました。そして、その後私が神戸に移るまで、新設の素晴らしい研究室を使用させて頂いた記憶があります。この頃が朝日生命成人病研究所とのご縁が最も深かった時だと思います。

“成人病News”とチーム医療

 成人病は生活習慣病とも呼ばれていますように、患者さんの日常の生活習慣がその発症や重症化に大きな影響を与えます。従って、患者さんが病気に関して正しい知識を持ち、自ら正しい生活習慣を実践するようになるのが理想であります。しかしながら、現実にはそのようになることは少なく、関係する医療専門職が集まり、チームとして患者さんを色々な面からサポートすることが必要になります。従って、患者さんに病気に関する正しい情報を提供するという観点からも、また各種医療専門職間の情報共有という観点からも、この成人病Newsは重要な役割を果たしてくれると期待しています。
 今後も、この成人病Newsを益々充実したものにしたいと思っておりますので、何卒御協力の程、宜しくお願い申し上げます。

 
 

糖尿病の検査

生化学検査室・チーフ 佐藤 智代

糖尿病は「検査の病気」

 皆さんが、もし、糖尿病と診断されて通院することになったら… 病院で医師が診察して、お薬を処方して、「はい、お大事に!」それだけ?いえいえその外にも大事なことがあります。
 そう、検査です!糖尿病は「検査の病気」といわれることもあるくらい検査が重要な病気なのです。なんで?!
 糖尿病は自覚症状がないことが多いので、糖尿病と言われても治療しなかったり、治療をさぼりがちな人が少なくありません。
 でも、放っておくと次第に進行して多くの合併症を招くのが糖尿病です。このため、検査で定期的にチェックする必要があるのです。
 今回は、多くの検査のうちでも特に糖尿病にかかわりが深いものについてご紹介します。

コントロールの状態を見る検査

 糖尿病は血糖値やHbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)値などを適正な状態に保つことで合併症の発症や進展を防ぐことができます。以下はそのコントロールを見るための検査です。

  1. 血糖値
  2.  血糖として測定されるのは血液中のブドウ糖です。
     血糖値は、直前の食事や運動によって変わりますが、健康な人では、空腹時の血糖値は70〜110mg/dlの間に調節されています。
     血糖値のバランスを保つ働きをしているのが、インスリンなどのホルモンです。糖尿病ではインスリンが出にくくなったり、効き目が悪くなることで血糖値が高くなりやすくなります。

  3. HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)値
  4.  HbA1cは、血糖コントロールを見るための重要な検査で、血糖値と違い食事の影響を受けません。
     血糖値が高い状態が続くと、赤血球の中のヘモグロビンの一部に血糖(ブドウ糖)が結合した状態になります。HbA1cは、その結合した部分を測定しています。
     HbA1cは、過去1〜2か月の血糖コントロールの状態を反映します。

  5. 体重
  6.  糖尿病では体重管理も大切です。
     糖尿病で肥満していると、治療してもなかなか血糖値が下がりません。また、高血圧や脂質異常症などの他の生活習慣病も発症しやすくなり、そうなると糖尿病合併症の危険がさらに高くなります。
     逆に、減量しますと血糖値のコントロールが良くなるばかりでなく合併症の危険も低くなります。
     肥満しているか否かを表す指数で用いられるのがBMI(body mass index)です。
     BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷身長(m) で計算され、BMI = 22となるのが標準体重です。この体重が最も病気になりにくい、統計的に理想的な体重といわれています。 

  7. 血圧
  8. 血圧測定する男性のイラスト

     血圧とは、血管内にかかる圧力のことで、心臓の収縮期を最高血圧、拡張期を最低血圧とする二つの数字で表されます。
     140 / 90 mmHg 以上を高血圧といい全身でいろいろな症状が起こりやすくなります。例えば、脳では脳卒中、心臓では狭心症や心筋梗塞など、腎臓では糖尿病腎症や腎不全などの合併症が挙げられます。
     糖尿病の人では合併症の予防のため、130 / 80 mmHg 未満に管理するのが理想的です。

合併症の検査

 糖尿病で問題となるのは高い血糖値が続くことによっておこる合併症です。
 主な合併症として、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症などがあります。
 ある日糖尿病と診断されても、実際には血糖値が高い状態が以前から続いていたかもしれません。その場合、すでに合併症が始まっている可能性がありますので、コントロール状態を調べるのと同時に合併症を調べる検査も行っていきます。

  1. 糖尿病腎症の検査
  2. 左右腎臓のイラスト

     腎臓では、「糸球体」という文字どおり細い血管が球のように丸まった組織で老廃物や余った水分をろ過して尿を作ります。しかし、高血糖が続いてこの糸球体のろ過作用が低下してくると、糖尿病腎症という状態になり、重症になると血液透析が必要になります。
     そのため、腎症を早期に発見して有効な治療を行うために定期的に尿検査を実施します。

    • 尿検査
    •  尿検査では尿タンパクや尿糖、尿潜血など一度に多くの項目を調べます。特に尿タンパクについては必要に応じて微量アルブミン検査が実施されます。これは、非常に微量のタンパク(アルブミン)を感度のよい方法で尿から見出す検査です。
       他にも、腎機能を調べる検査には一日分の尿を溜めて調べる蓄尿検査や血液検査のクレアチニンなどがあります。

  3. 糖尿病神経障害の検査
  4.  糖尿病神経障害は高血糖が続くことにより神経細胞に栄養を与えている血管が傷んだり、ソルビトールという物質が蓄積することで起こります。
     神経障害の症状は手足のしびれや痛み、感覚の鈍麻、下痢や便秘を繰り返す、立ちくらみなど、様々な形で全身に現れます。このような症状はごく初期の段階から現れてきます。
     神経障害の検査は手軽にできるものとしては、ゴムのハンマーで膝やアキレス腱を叩いて反射をみる検査などもあります。

    • 神経伝導速度検査(NCV)
    •  末梢神経(運動神経・感覚神経)を皮膚の上から電気で刺激し、末梢神経障害の有無、程度、部位を判定します。

    • CVR−R検査
    •  呼吸によって心拍数に変動がみられるかどうかという検査です。自律神経障害の有無を調べます。

  5. 糖尿病網膜症の検査
  6. 眼底検査を受ける女性のイラスト

     私たちの目の奥には網膜という光や色を感じる部分があります。糖尿病網膜症は神経障害、腎障害と同じく高血糖の持続が網膜の血管を傷めることによっておこります。
     糖尿病網膜症は初期には自覚症状が現れませんが、検査によって異常を発見することが可能です。
     また、早期発見であればあるほど、治療の効果も高くなります。

    • 眼底検査
    •  散瞳薬を点眼して、開いた瞳孔から眼底の血管や網膜、視神経を調べる検査です。数時間はまぶしさが続きますので検査後は自動車の運転などは避けるようにします。

  7. 動脈硬化などに関連する検査
  8. 血管を早く流れる赤血球のイラスト

     動脈硬化とは動脈血管壁にコレステロール等の脂質が沈着し、血管の細胞が増殖したりして、血管が弾力を失い、硬化するとともに、内腔が狭くなる状態です。
     高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などが動脈硬化の危険因子になります。動脈硬化の進行を放置すると、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・脳出血・閉塞性動脈硬化症などを引き起こす原因となります。
     動脈硬化を調べる検査として、脈波検査や頸動脈超音波検査などがあります。

    • 脈波検査
    •  両手・両足の血圧を測ったり、脈の伝わる速さを測って血管の硬さを調べる検査です。 動脈硬化が進むと脈波は速く伝わります。

    • 頸動脈超音波検査
    •  超音波を使って頸動脈の血管の中や血管の壁の厚さ、血液の流れの速さを調べることにより、動脈硬化の様子がわかります。

    • その他
    •  動脈硬化については血圧、コレステロール、中性脂肪、心電図などの検査も大切です。

 ここまでお読みいただきありがとうございます。
 糖尿病治療における検査について、少しでも興味を持っていただけましたか?
 検査なんて面倒で嫌なものと思われがちですが、糖尿病は全身に影響する病気だからこそ、定期的な通院と検査を通じてトータルな健康管理を行えるのではないでしょうか。

☆ 定期的な検査を受けることで血糖のコントロール状態を確認しましょう。
☆ 定期的な検査を受けることで合併症を早期発見し、進行を防ぎましょう。