糖尿病・高血圧症・高脂血症などの生活習慣病と消化器系疾患を中心とした診療を行っております。

〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-6 朝日生命須長ビル 2・3・4F

成人病News



各地で糖尿病週間行事 行われる

(公財)朝日生命成人病研究所附属医院

所長・院長 岩本 安彦

第53回糖尿病週間講演会

 今年も全国各地で、糖尿病週間に関連してさまざまな取り組みがなされました。皆さんご存じのことと思いますが、11月14日はインスリンの発見者Banting教授 (トロント大学) の誕生日で、「世界糖尿病デー」に制定されています。わが国でも糖尿病週間には糖尿病の予防・啓発をめざして、全国各地で多くの行事が開かれました。
 東京では東京都糖尿病協会主催の「糖尿病週間講演会」が11月11日 (土)によみうりホール (有楽町、読売会館7F) で行われました。今年のテーマは「高齢化する社会のなかで糖尿病に立ち向かう」で、江藤一弘 実行委員長 (サンライズクリニック院長) のもと、2題の基調講演と3名の演者によるパネルディスカッションが行われました (下記) 。いずれの講演も高齢化社会における糖尿病療養に役立つ興味深いお話をお聞きすることができました。

糖尿病週間講演会『高齢化する社会のなかで糖尿病に立ち向かう』
  内容・演者  ※敬称略
1. 開会の挨拶・表彰式 渥美 義仁 東京都糖尿病協会 会長
2. 基調講演Ⅰ 「認知症やフレイル (虚弱) を防ぐための糖尿病の療養方法」
   荒木 厚 東京都健康長寿医療センター 内科統括部長
3. 基調講演Ⅱ 「そこが知りたい!糖尿病とがんの危険な関係を断ち切るコツ」
   大橋 健 国立がん研究センター中央病院 糖尿病腫瘍科 科長
4. パネルディスカッション
 (1)「老化を進める悪玉物質“オステオポンチン”とは?」
   佐野 元昭 慶應義塾大学 循環器内科 准教授
 (2)「血糖値の変動とその管理?1日血糖の見える化?」
   森 豊 東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 教授
 (3)「サルコペニア予防のための食事療法 これで筋肉をまもる!」
   朝倉 比都美 帝京大学医学部附属病院 栄養部 科長
 (4) 総合討論〔各演者およびパネリスト〕
5. 閉会の挨拶 実行委員長 江藤 一弘 サンライズクリニック 院長

日本糖尿病財団の事業

 公益財団法人日本糖尿病財団は、糖尿病に関する調査研究等に対する助成事業、糖尿病に関する予防キャンペーンによる正しい知識の普及・啓発活動、および国際交流活動に対する助成等を行っています。平成3年に設立され、平成25年4月には公益財団法人として認可され、現在は私が理事長を務めています。
 糖尿病に関する調査研究では、財団独自の研究助成を行うとともに、企業との共同企画による研究助成を実施しています。また、公益目的事業として「2型糖尿病患者を対象とした血管合併症の抑制のための強化療法と従来治療とのランダム化比較試験」 (J-DOIT3) の実施と助成、さらにその追跡研究の助成を行っています。
 こうした日本糖尿病財団の助成金の原資は多くの企業や個人からの貴重な寄附によるものであり、引き続き (公財) 日本糖尿病財団に対する温かいご支援をお願い申しあげます。

平成29年度糖尿病予防キャンペーンのご報告とご案内

 平成29年10月15日 (日) に岡本元純世話人 (滋賀県糖尿病協会会長) のもと、滋賀県立陶芸の森・信楽産業展示館において『糖尿病をもっと知ろうよ、みんなで描く一つの輪』をテーマに、「糖尿病予防キャンペーン西日本地区 in 滋賀」が開かれました。あいにくの雨模様にもかかわらず、約400名の参加者を得て盛会裡に終了しました。東日本地区の糖尿病予防キャンペーンは平成30年3月17日 (土) に富山県総合福祉会館「サンシップとやま」において、戸辺一之世話人 (富山大学医学部第一内科教授) のもと開催されます。

 なお、平成30年度の糖尿病週間行事 (東京) は朝日生命成人病研究所附属医院の吉田洋子診療部長が実行委員長を務めさせていただくことになりました。有意義な糖尿病週間講演会にすべく、成人病研究所の総力を挙げて準備を進めてまいりますので、よろしくご支援の程お願いいたします。

 
 

人間ドックの在り方
 〜第58回人間ドック学会年次学術大会報告〜

部長・糖尿病代謝科 菊池 貴子

第58回人間ドック学会年次学術大会報告

 「第58回人間ドック学会年次学術大会」が本年8月、大宮で開催されました。
 毎年、人間ドック・健診部として発表・参加しておりますので、その様子をご紹介いたします。今回の学会テーマは「生涯健康のガイドライン創り―豊かな高齢化社会を目指して―」というスローガンでした。
 健診というのは全身を総合的にみることになりますので、扱うテーマの分野は幅が広いのですが、なかでも話題に感じたものは、少量の血液で多くのがん検診をするものや、新しい眼科検診等、新しい検診方法や、保険医療の将来、健診後の的確なフォローアップ策 (要精査の未受診を減らす策) 、健診をより楽しいものにする試みなどです。さらに古くから知られる疾患 (糖尿病、高尿酸血症、脂肪肝等) についても新たな知見が加わり、より受診者の皆さんに役立つ情報と感じました。

人間ドックの活用法

 既に人間ドックを利用されている方に是非意識して頂きたいのは、次のステップです。折角早期の段階で異常を発見できたのに症状がないからと言って放置していないでしょうか?今回の学会でも二次検査の受診率の低さが問題となっていました。時間がない、面倒であることもわかります。しかし、実は二次検査こそ大切なのです。病気を予防するためには、健診の結果を良く理解し、自覚を持って生活して頂く事が、健康維持と健康寿命の延長に大きなメリットとなります。
 多くの病気は予防が可能な時代です。皆さま、是非ご自身の健診データを今一度眺めて頂き、現在および未来の自分のための健康管理に役立ててください。

 最後に、今回の学会で私が講演してまいりました研究内容を簡単にご紹介いたします。
 演題名は「男性ドック受診者のメタボリックシンドローム悪化に相関する生活習慣の解析」です。
 本研究では、5年間で3回以上当院のドックを受診した203名の受診者を対象とし、糖尿病・高血圧症・脂質異常症・高尿酸血症の各々が悪化した方の生活習慣の特徴をアンケート結果から解析しました。結論を一言でまとめますと、飲酒頻度が多い、睡眠時間の不足、1日30分以上の運動が週2回未満、外食の頻度が多い、既製の惣菜を買う頻度が高い、という生活習慣の人たちに病気の発症・進行が見られました。施設によって受診者の特徴が少しずつ異なると思いますが、いずれも大変重要なポイントですので、是非ご参考にして頂けると幸いです。

 
 

当院での糖尿病患者指導の現場における
指導効果向上のための取り組み

看護科・看護師長 松田 由維

糖尿病療養の初期教育の重要性

 糖尿病は病状のコントロール状態によっては健康な人と変わらない生活を営み、人生をまっとうすることが可能です。しかし、自覚症状が乏しいため糖尿病に気づきにくく「自分は大丈夫」などと考えがちです。
 糖尿病の合併症はゆっくりと進行し、知らず知らずのうちに重症化する危険性があります。合併症の重症化を防止するためには早期から糖尿病について学習してもらい、将来の見通しなども説明する必要があります。患者自身が身体に関心を持つように、自己管理に必要な正しい知識・技術を伝えることが必要です。

受付から検査、診察、指導、会計を効率よくセット化

 当院では2011年10月の移転から今日まで月平均約4000人の糖尿病患者の診療を行っています。糖尿病専門医12人とともに、日本糖尿病療養指導士22人・糖尿病認定看護師1人を含む、看護師、臨床検査技師、管理栄養士、薬剤師、医療事務で糖尿病患者を支援しています。
 特に初診の患者に対しては診察前検査から栄養指導まで約2時間を要しての指導がなされます。受付・カルテ作成、質問票記入後に行われる診察前検査 (耳朶採血による血糖値・HbA1cの測定等) は10分程度で結果が出るので、引き続き当日の検査データに基づいて医師が診察します。診察の結果、示された方針に従い、看護師による療養指導 (45分) 、管理栄養士による栄養指導 (30分) が行われます (図1) 。看護師はおもに患者の生活リズム・背景などの聞き取りを行い療養上の問題点を明確にします。その上で次の診察までに行う食事・運動・生活全般についてのプランを患者に考えていただき、在宅での自己管理を基本とする療養がスタートします。


Vol14.図1 図1 : 糖尿病内科の初診当日における流れ


指導用ツールを活用した患者情報共有と総合的支援

 患者の全体像を医師の診察だけで理解することは困難です。そのため当院では患者情報の収集・共有にはフォーマット化した「療養指導・栄養指導経過表」を活用しています (図2、 PDFはこちら ) 。

Vol14.図2
図2 : 「療養指導・栄養指導経過表」の活用

 この「療養指導・栄養指導経過表」には看護師、栄養士らが聴取した患者情報が記入されています。それを医師、すべてのメディカルスタッフが共有し総合的な支援を行っています。
 看護師による初診療養指導は基本2回行われます。1回目は患者の全体像の把握、糖尿病についてのお話しをします。2回目は主にフットケアについてお話ししています。特に初診患者の場合、療養指導を通して生活背景や糖尿病療養のための知識、技術を十分理解していただき患者自身に実現可能なプランをあげてもらいます。そして自宅で実践していただきその後、評価・修正していくことが必要です。

コーディネーターの采配で急な指導にもスムーズに対応

 診療当日に必要となる外来療養指導の采配はコーディネーターが担当し、スムーズな指導を可能にしています。コーディネーターは糖尿病療養指導に関わる看護師を中心としたスタッフが毎日交代制で担当し、専用のPHSを携帯します。
 診療結果で当日からのインスリン注射導入をする場合などは、まず医師からコーディネーターに連絡が入ります。その連絡を受けて、コーディネーターが患者の事情や都合に対応可能な適任者を選定し、指導を行います。当院では外来療養指導コーディネーターを置くことで、スムーズな支援、また適切な指導を不足なく行うようにしています。